学校なんかに行きたくないと思ったときに読む10冊
日本人にとって学校文化は深く深く浸透している。学校に所属していない人でも、「学校」という存在を意識している人=「自分は学校に所属していない」という意識を持っている人は多いんじゃないだろうか。学校という概念から全く解放されている人は滅多にいない。子どもの権利である義務教育はさておき高校に行かないという選択肢が自然にできるくらいに、軽いものになれば中も外も風通しがよくなるだろうにね。ちょっと重過ぎる存在、それが学校。嘆いても、現状はそう簡単には変わってくれないだろうから、今学校という存在に疲れている人たち(中でも外でも)が楽になる本を紹介してみる。自分が学生時代のときに読んで励まされた本です。
1.
「勉強ができた」自分にとっては頭を金槌で殴られたような衝撃を受けた本。うすうすわかってはいたことだけど、はっきりと突きつけられた。当時中学生だった自分は「勉強ができる」ことを自分の拠り所にしていた全くもって「ツマラナイ」人間だった。勉強ができたからってどうだというの?できないからってどうだと?
特定の場所の特定の人間の特定の尺度で「落ちこぼれ」と認定されたからと言って、落ち込むことはない。世界は広い。楽しむ姿勢を保っていてれば、あなたに相応しい場所、人間、物事はやってくる。
もちろん「勉強を頑張ったのに、どうして報われない?」という考え方が、思考停止なだけで、勉強が楽しという人、目的や野望があり、そのために勉強が必要という人はこれからも大いに勉学に励んでください。
ただ、その勉強を本当に望んでやっているか、疑問に思った人、あなたにとって何が大切なことなのかを考えてみよう。この本はそのヒントがある。勉強ができてしまっている人、その勉強に疑問が湧いたら是非読んで欲しい一冊。
2.
はみ出し者でおめでとうございます!
引用
・「空気が読めない奴」といわれたことのあるあなた
・まわりから浮いているあなた
・「こんな世の中おかしい」と感じているあなた
・本当は行列なんかにならびたくないと思っているあなた
・のけ者になったことのあるあなた
おめでとうございます。
あなたは“非属の才能”があります。
「みんなと同じ」が求められるこの国で、
「みんなと違う」自分らしい人生を送る方法はあるのか?
右肩上がりの経済成長が終わり、群れることで幸せを感じられる「恵まれた時代」が過ぎ去った今、なにより必要なのは、未来を担う才能ある人間が、その才能をいかんなく発揮できる環境作りであり、マインド作りだ。ところがいまだにこの社会では、出る杭は打たれ、はみ出し者はいじめられる。横並びがいちばん重視され、斬新な発想や強烈な個性は「群れのルール」に従って矯正、または無視されてしまう。才能ある人間が生きづらい国――それがニッポンだ。もはや今の時代、みんなと同じ必要はまったくない。むしろ、違えば違うほどいい。人はそれぞれだ。各個人が自分の道を自由にゆけばいい。“非属”であること――これこそが新しい時代のスタンダードだ。
あなたに「非属の才能」があるならば、それを大切にして欲しい。今はそれががあなたを苦しめるばかりかもしれないけれど、時期がくれば、場所が変えれば、きっとそれがあなたの誇りになる。学校から逃げたって構わない。したたかに捨てずに生き延びて欲しい。学校や世間なんかに(あなたの個性を)殺されないように!!
3.
「退屈なやつらに俺たちの笑い声ば、聞かせてやるったい!!」
青春小説の金字塔。主人公は青春時代の作者がモデル。映画も小説も疾走感と毒の効いたユーモアがたっぷりで学校なんて小さい枠に囚われているのが馬鹿らしくなった。何者でもない人間でも(何者でもないからこそ)、何かしたくなってしまう作品。
4.
- 作者: リチャード・バック,Richard Bach,五木寛之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1977/06/01
- メディア: 文庫
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もともといた群れでは変わり者で爪弾きにされていたかもめのジョナサン。
それでも「飛ぶこと」を追求し続けたジョナサン。
そうしていたら、やっぱ見てくれる人はいるのです。ジョナサンは新たな仲間たちを得ることができた。ただジョナサンはあまりにも求道者すぎるんで、そこからもまだまだ行くぜのノリなので流石にこれはまねはできないと思った思い出。
5.
直接学校どうこうではないけれども、常識や因習を天才がその感性と表現力をもってして徹底的に虚仮にしまくっていて痛快。常識に殺されるくらいなら、非常識の謗りを受けても良いから常識を笑い飛ばしてやりましょう。
6.
6だけど3。「君たち、世界を変えてみたくはないか」という台詞から始まる バカでおっちょこちょいだけど、自分が感じているものを大事にしている男子学生たちのドタバタ劇。大儀やお題目に酔いしれて行動しているといつの間にかズレた行動・ズレたやつになってしまいがち。男の子は女の子のために頑張るのです。シンプルな真理を忘れずにいたいものね。自省を込めて。
7.
個人的に最強の1冊。角川版が良い。表紙が素敵でございます。納められているラインナップも良いのです。その中でも表題の「堕落論」とそれに続く「続・堕落論」には勇気をもらいました。既存の常識や道徳にただただ従い安穏としている人間を、思考停止の卑怯者だと喝破している。常識・道徳に苦しみながら戦っている人には本当に救いの書。このエッセイが僕の孤独な戦いに終止符を打った。読者を甘やかす本じゃないので、「戦い」はむしろ奨励されていますが、折々に安吾なら賛成してくれるだろうと思えて、孤独感が無くなっていった。自分の感覚が世間とずれてずれて苦悩している人、のほほんと暮らしている人間に腹が立って仕方ない人、是非読んでみて欲しい。この本はそんな人たちを待っている。
太宰治と良く対比される坂口安吾ですが、この文庫に入っている自殺してしまった太宰を評したもの「不良少年とキリスト」も面白い。安吾の太宰への愛がたっぷり感じられるし、太宰を英雄・教祖と祭り上げた「無辜の民」の問題も鋭く指摘している。太宰好きって人は一度読んで欲しいな(怒りに駆られて本を破り捨てるかもしれれないけど)。
8.
バシズム 日本橋ヨヲコ短扁集 (KCデラックス ヤングマガジン)
- 作者: 日本橋ヨヲコ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/04/04
- メディア: コミック
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つまらない場所でも面白おかしく過ごして見てはどうだろう。今いる場所、今ある場所も工夫次第でもっと面白くなる。一石を投じて見よう。学校を諦めるのは、まだ少し早いかもしれない。
9.
一万円の人の著。有名すぎるけれども、斉藤孝の現代語訳が非常に読みやすかったので紹介。 学校は絶対ではないし、学校に頼る必要もないけれども、学問が人生の可能性を拓くのは間違いない。この本を読めば、そのことが良くわかる。実学の力半端じゃない。学問を修めるために利用するという視点で学校を捉えなおすことができれば、学校にも意義を見出せるかも。
10.
歴史小説は視点を引き上げてくれて、雑事にまみれた魂を洗ってくれる。この本は、吉田松陰が前編の主人公で高杉晋作が後編の主人公。明治維新に欠かせかった2人だけれども、2人とも維新後を見ずに亡くなっている。2人に通ずるのは常識に囚われず発想し行動する狂気。なのだけれども学を修めた教養人なとこも共通している。明治維新を成し遂げた人たちは時代もあって文武両道の人たちだらけ。武士といえども決して武のみに偏っていたわけではない。自分の理想を実現するために学校に通うという選択肢は捨てたものじゃない。この小説自体は疾風迅雷の高杉晋作が活躍しまくる痛快な作品なので、幕末好きな人は『竜馬がゆく』『燃えよ剣』に続けて是非どうぞ。
最後に
やっぱり本はいいよね。言うまでもないか。本の素晴らしいところはいくつもある。読者が自分のタイミング、ペースで読めるところ。気に食わないと本をぶん投げた後にまた興味が湧いたときも温かく迎え入れてくれる。読者が納得するまでいつまでも、同じ話題で付き合ってくれる。人間相手ではなかなかこうはいかないよね。
それに、本は多くの人の目に触れる上、時代も超えて残るものだから、筆者も魂込めて書いている。その本気が本の密度や純度を高め、面白いものがたくさんできあがる。
学校や家や周りに自分の理解者がいない人、絶望しないでください。同じように苦しんで来た人たちがいる。その人たちが、そんなあなたのために本を書き残してくれている。あなたのために書かれた本は一騎当千の味方になる。僕はそんな本を探すために必死で図書館通いをしていた。僕にとってのそれはここに紹介した本たちで、その最後が坂口安吾の『堕落論』だった。読んだときに自然と涙が流れた。自分はこれで大丈夫だと思えた。おこがましいけれども僕が紹介した本があなたのその一冊になれば幸いだ。そうじゃなくても、本を読みはじめるきっかけや、本を選ぶ参考になればとても嬉しい。
ここから蛇足!
番外:本を読んだけれども(or読む気も起きないくらい)どうしても学校嫌だ、という人へ。
学校という制度が嫌なのか、勉強が嫌なのか、学校にいる特定の人間が嫌なのかをちょっと考えてみて欲しい。それに応じて取るべき手段も変わってくるので
(1)
勉強はそこまで嫌いじゃないけど、今の学校制度がとにかく嫌という人はオルタナティブ(スタンダードとは別のという意味)教育に目を向けてはどうだろう。
東京シューレの子どもたちは既存の学校には合わなかったけれども、安心できる場所を得て、自分たちの力を取り戻し、それらを発揮している。自分の夢のために大学進学した子、アラスカへの修学旅行を企画した子、太平洋から日本海まで徒歩で縦断した子、自分たちで映画をとった子、フリースクールの世界会議を運営した子。信じられる??不登校になったり、引きこもったりと楽じゃない時間を過ごして、傷も負った子たちがここまでのことをするのだよ。もちろん、皆が皆、活発であるべきとは全く思わない。特定の状態や行動を素晴らしいという評価付けをすることは「べき像」の押し付けになりかねないのもわかる。ただ既存の学校では自分の力を発揮できなかった子どもたちが、場所を変えることでその可能性を開いてくことがあると知って欲しい。今の学校に合わないからと言って自分を諦めないで、ということ。学校を離れたからと言って人生が終わるはずがない。
東京シューレ以外にも、興味深い教育実践がいくつもあるのでまた折を見て(もっと勉強して)紹介したいと思います。むしろ知っている人はどんどん教えて欲しい。
モンテッソーリとかサドベリーとかイエナプランとか。
サドベリーについて。
高橋源一郎さんの「世界一素敵な学校」 - Togetterまとめ
よしもとばなな&本田健が語る:「サドベリー教育」を知っていますか : まだ東京で消耗してるの?
小説家・よしもとばなな氏「小学校3年で勉強は捨てました」 : まだ東京で消耗してるの?
- 作者: ダニエルグリーンバーグ,Daniel Greenberg,大沼安史
- 出版社/メーカー: 緑風出版
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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イエナプラン
リヒテルズ直子さんはちょいちょい日本に帰ってきて講演会などしているので興味のある方は是非参加しみてみては? 後、日本イエナプラン教育協会では、毎年2回オランダへ行きイエナプランを実際に見学できるツアーを提供している。ずっと興味あったのだけれども結局ベトナムに来てしまい、しばらくチャンスがなさそうで残念。
シューレ、サドベリー、イエナプランは中学校以前に知っていたら、自分の高校選びが100%変わっていたなと思えた。最終的にこの3つを選ぶかはわからないけれども基準や選択の幅が広がっていたと思う。
(2)とにかく勉強が嫌やという人は本宮ひろしの作品を呼んで魂に火をつけて、その勢いで勝負しよう!(半分ネタですが、半分マジです。本宮作品は大好きです。)
無学の貧農が男気と才覚で成り上がっていく話です。主人公のモデルは中卒で総理大臣まで上り詰めた「今太閤」田中角栄。
(3)学校にいる特定の人間が嫌だといっても、クラスという単位で学校が運営されていて、いかんともしがたい場合は結局(1)と同じ結論になってしまうね。普通の学校は教師も選べないし。大学まで行けば自由になるけれども、そこまで我慢できないし、学校も変えたくない人はどうしようか。これは難しい。楽しめたりや有意義だと思える時間や部分を増やして、マイナスよりもプラスを上回らせるという間接的な方法しか思いつかない。直接的な処方箋は宿題とさせてください。(自分が苛められている場合に相手を法的手段でも何でもとって更正させる・追い出すのは有りだと思っています。ただ、気に食わない程度の理由で相手を苛めて追い出すのは無し)