らくらく新聞@ブンタウ

ベトナムのんびりローカルリゾート・ブンタウからベトナムと日本の諸々のことを書いています。 

海外旅行に行くよりも一冊の本を

インターネットの普及や格安航空の広まりや日本を含む英語話者の世界的な増加で歴史上もっとも日本人が海外へ行きやすい時代になっていると感じています。

僕はこれまで韓国、中国、台湾、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、オーストラリア、パキスタンに行きました。また、それらの地や日本で現地人でないさまざまな外国人旅行者・滞在者と接した(僕の通っていた大学は日本で一番留学生が多い)経験があります。そしてベトナムで生活を始めて一年が過ぎ去りました。

そんな今日に思うこと。日本を出たけれど、いろんな(海外にまつわる)経験をしたけれど、結局考え方や価値観、ものの見方はなかなか変わんないなということです。

そりゃそうです。日本人にも色んな人間がいて、色んな価値観や生き方があります。そんなところで曲がりなりにも20数年過ごして来たのだから、天秤の両端に色んな形、重さのおもりをそれぞれひとつずつ乗っけていくように経験を積んできたのだから、ちょっとやそっとのおもりがそこに加わってもなかなか全体にわかりやすい影響は出ません。

これは価値観が変わる経験を味わい難くなったということであり一抹の悲しみを覚えますが、大人になったということで喜んでもいいのかもしれません。

振り返ってみると、そもそも僕は、現実の人や物に出会ったときよりも本の中で古今東西の賢哲の考え方に触れたときに価値観が切り変わったことの多い人間でした。本の中で出会う人格や考え方や価値観は現実以上とんがったものが多くて、それを悪戦苦闘しながら噛み砕くことで現実世界への免疫がついていったように思えます。こういう具合なので海外に出て日本ではないような経験をしても、あの本の中にこういうこと(考え方)はあったなぁという感じになってしまっています。

時空を超えて(古くから現代に、世界から日本へ)残っている本に触れるのは強烈な経験です。バリバリに賢い人がゴリゴリ全力で書き上げた文章の力はすごいですよ。人生が変わってしまうくらいに。地球の歩き方を買いに行ったついでに是非もう一冊何か手に取ってみましょう。それが海外旅行に行くよりも自分の価値観を変える特別な一冊になるかもしれません。

 

ここまで現在の限られた(海外)経験の中での考え方なので、これからの海外経験の中で価値観が変わることがあるかももしれません。そうしたら前言撤回ですね。「本を読まないでも、経験一発で価値観が変わることもあるんだよ。だから書を捨ててとりあえず海外旅行にでも行ってきな」という人間になるかもしれません。そんな風に自分が大きく変わるような経験を期待しながら生きています。色んな価値観・考え方を行ったり来たりした人間の方が年取ったときに味が出そうなので。

 

堕落論 (角川文庫クラシックス)

堕落論 (角川文庫クラシックス)

 

 

 

ゲーテ格言集 (1952年) (新潮文庫〈第376〉)

ゲーテ格言集 (1952年) (新潮文庫〈第376〉)

 

 

 

読書力 (岩波新書)

読書力 (岩波新書)

 

 またこれまでに海外旅行には行きまくっているけど本なんか全然読んだことがないという人にこそ、本を読んで欲しいと思います。ふつうに日本で過ごしていては味わえない色んな経験を積んできた人は納得できない、わからないといったもやもやが溜まっているはずです(無意識にスルーしているかもしれませんが)。本を読んでいくことでそのもやもやを解くヒントがきっと見つかります。本を読むことでこれまでの経験がつながっていき「そう、そうなんだよ!」と疑問が解けていく過程はとても気持ちがいいですよ!