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らくらく新聞@ブンタウ

ベトナムのんびりローカルリゾート・ブンタウからベトナムと日本の諸々のことを書いています。 

オレオレ詐欺の人間の意識とモチべが高くてヤバい。読書感想『老人喰い:高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書)』鈴木大介 

最貧困女子を書いた鈴木大介氏による『老人喰い』 読了。

 

老人喰い:高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書)

老人喰い:高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書)

 

 

若者たちが老人をターゲットにした詐欺に参加していく若者たちの意識や環境的要因、詐欺組織の内部事情が克明に描かれている。


筆者は言う。手口を対症療法的に潰していっても詐欺は絶対になくならない。持てる者との格差、まともな手段で成り上がる道が見えない絶望が若者を詐欺に駆り立てる。格差が広がりすぎて、富める老人たちを同じ人間として見ていない。むしろ自分たち「弱者」を見捨て、富を(自分の子ども孫にしか)分け与えない悪徳の人間として捉えている。詐欺組織の中では詐欺行為がむしろ悪徳の輩から奪い周囲に分け与える義賊的行為として道徳的に肯定さえされている。また詐欺組織は経歴を問わない(むしろ、脛に傷がある方が退路がない分歓迎される)上に、実力が全てで努力や能力が報酬にわかりやすく反映される。富を得、業を続け拡大するため、個々人への教育も費用と時間をかけてなされる。飢えながらチャンスを渇望する若者の野心と恨みを叶えるにはうってつけの場である。故に彼らのモチベーションは極めて高い。彼らは頭も回る(さもなければ犯罪行為を続けることはできない)、人一倍努力もする。己の周囲や後進たちへ気前よく分け与える(己の過去ゆえに。また求心力を保つために)。もし、詐欺行為をせずとも彼らの飢えを満たすことができる場があればどれだけの価値を世間に提供できただろうか。奪う側に回る決断をする前に、与えられる機会(可能性)があれば道は違っただろうにと結ばれている。

 

ゾッとする本でした。詐欺行為をする人間たちのモチベーションの高さ。それと、それを理解できる自分にも少し。
恨み値をためないよう、闇落ちしないようにちゃんと生活を作らんとな。

詐欺はいかんですけどね。いかんいかんではなくならないなーと。

モラルを唱えることは大事ですが、同時に飢え渇きと野心を満たす場を広げていくことが社会を安定(発展)させる上で肝要。

奪われる前に分け与える(アメリカの寄付文化、イスラムの喜捨)のか。奪われないように高く高く城壁を築き上げる(アメリカのゲーテッドコミュニティ)のか。自分の祖父母や親が、未来の自分が安心して暮らすにはどちらの道が良いか(日本国内的にも、対外的にも)、日本という国やひとりひとりの個人に問われている気がします。二者択一でもないでしょうけど。

とりあえず親に詐欺に気をつけてね連絡しとこう、外務省や保険会社を名乗る人間から電話かかってきても直ぐには信頼せんよーにと(笑)

 

 

 

希望の国のエクソダス (文春文庫)

希望の国のエクソダス (文春文庫)

 

 高校時代に読んだ『エクソダス』。私はこの主人公たちと同じ年代です。日本社会は十幾年がたち、ここからどれだけ変わったのでしょうか。変わったとしたら良い方向に?悪い方向に? 「この国にはなんでもある。だが、希望だけがない。」この言葉がむしろ今になって現実味を帯びて聞こえるのは、私が年をとったせいだけでしょうか。

希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)

希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)

 

 これももう8年前の本に。希望の格差がデータによって裏付けられています。私が生活するベトナムの人々は貧乏だ、(共産主義の中で)自由がないと自分たちのことを語りますが、日本人よりもよほど明るいです。経済の格差そのものよりも未来に希望がもてるかどうか、それが人間の心理に強い影響を与えるのがよくわかります。

 

アメリカの寄付文化について

vol.257 寄付は日常のこと?アメリカ人が寄付をするわけ|R.E.port [不動産流通研究所]

イスラムの喜捨について

戯作工房 : 連載:日本人が誤解しているイスラム教(3)