らくらく新聞@ブンタウ

ベトナムのんびりローカルリゾート・ブンタウからベトナムと日本の諸々のことを書いています。 

転職するかどうか迷い、結論に至るまで。参考にした本を添えて。

ベトナムでの日本語講師生活もそろそろ1年。

そんな折、日本人同僚の退職・転職があり、また4月から見知らぬ日本人が新たに同僚になるということで、私も将来のことを考えるようになりました。

現在の日本語講師の仕事は月で5万円(当初の3万円から随分昇給しました!)ほど、ではありながらも、当面生活する上では十分であり、また非常に時間にゆとりがあり、人間関係も良好です。

ただ、4月からやってくる新たな日本人によってこの環境がどうなるかは予想がつきません。さらに面白く快適になるかもしれませんし、居心地が悪くストレスのたまる職場になってしまうかもしれません。日本人の数が少ない(現在は私1人)この場所では1人の日本人の与える影響はとても大きいのです。

また一生この仕事を続け、一生ベトナムで暮らしていくつもりであるならば、気にはならないところなのですが、その覚悟まではできておらず。、今のままで転職できるようなスキル(生きる力?)が直接的に身につくかというところには不安があります。(この点はジャンルを問わず教師共通の課題かもしれませんね。)

そして、調度そのころ、知人(と言っても人生の大先輩)が新たな仕事をベトナムで始めるにあたり日本人人材を欲しているという話がありました。

詳細を尋ねたところ、雇用の条件は給与が3倍近くになり、年に1回の帰国費用と傷病保険代も会社持ちということでした。そして何よりその知人がとても経験豊富かつ人間性に優れた尊敬すべき方である上に、数年で一端のビジネスマンにまで育てるつもりだとおっしゃっていただいていました。その方と私の他に日本人がいないというのも、年が少々いった私にとっては気が楽(頭を下げて学びやすい)なことでした。ビジネス経験のない20代後半の私がこのような好条件で迎え入れられる機会はこれからそうそうないなと思えました。転職に多いに心が傾きました。

ただ、日本でも一般的な一日8時間、週5日というフルタイムでの勤務に加え土曜日の午前中勤務を求められたときにひっかかるものがありました。日本でも一般的な範囲のことであれば、「当たり前」だとして心の声に耳を傾けることもなかったのですが、このちょっとした追加によって多いに悩むことになったのです。それは週のうちの数時間がどうこうというより、自分の生き方そのものを問い直すことでした。

・将来をどう設計するか

・不安とどう向き合うか

・自分にとって大切なものは何か

・時間の自由と能力(実力やお金)の自由をどうするか

・そもそも何故内定を蹴ってベトナムに来たのか

などなど。

ベトナムに来て渡航前に想定していた通りチャンスは広がりました。自分の時間を確保するという点でも、自分が成長できる就職先を見つけるという点でも、私にとっては日本にいるときよりも機会を得ていると思っています。ただ、その有難いものに優先順位を付けるということは想定・覚悟しておらず今回戸惑うことになりました。正直、贅沢な悩みです。

どうせ贅沢な悩みなら、とことん贅沢に考えようと思い、自分の中のお金が欲しい!とか働きたくない!とかしょーもない自分を含めた上でよくよく考えた結果、現職を続けることに決めました。

「フルタイムの働き方」から「逃げた」ということができるかもしれません。情けないやつだと言えば、そうとも言えます。しかし、可処分時間というものが自分にとってとても大事なものだったのです。怠惰に過ごしたいという気持ちが大いにあることは認めるも、何か興味があることがあったときそれに反応できるような状態であることが私の望みなのです。そのときに、お金やそれを実行するスキルがないことで「能わず」ということも悔しいことではあるのは間違いありません。しかし、その「能わず」を解決する方法の選択を自分でしていくことが私にとって大切なことなのだと分かりました。遠回りで効率が良くない道だろうけども、自分が楽しく快活に生きるためにはこの道を進んでいった方が良いのだろうと思うに至りました。

片方の「安定した」道を切り捨てるのは苦渋でした。とても怖かった。断りを電話を入れる直前、いやその最中でもこれでいいのかと問い返していました。選んだ道を正解にしていけば良いと言いきかせてはいましたが、恐怖は消えてくれませんでした。ただ不思議なもので断りの電話を終えたときから途端に心が安静になっていったのです。客観的に見れば、アラサーで年収100万円もほど遠い「ヤバイ」現状が確定したはずなのですが不思議なものです。道が決定されたことで悩む必要がなくなったからでしょう。今は非常にすっきりして心が軽くなっています。この決断をして良かったと思えています。自分の心と向き合って、不安に負けずにこの道を選んだことが自信になっているのかもしれません。

この決断が10年後20年後どのような結果をもたらすか想像もつきません。

働くことから「逃げた」と言われないよう、言われても言い返せるようにと思わないでもないですが、それ以上に何を周りから言われても平気のへの座で楽しんで生きることができるようにやっていこうと思います。一年前にベトナムへ来ることを選んだときとほぼ同じ考え方になっていますが、転職するか否かを挟んだおかげで、螺旋階段をもう少し高くのぼったところで結論が出せたのではないかと思っています。

また大いに悩み迷うことがあるのでしょうが、ひとつひとつ「逃げず」に決めていければと思うしだいです。

※いわゆる「やりがい」は今回の判断基準にはなりませんでした。私にとって日本語講師の仕事も転職候補先での仕事も「やりがい」のあるもので、どちらが優れているか結論付けられるものではありません。おかげでいかに生きるかという問いそのものに焦点をあてることができたと思います。

 

今回の結論を出すまでに、結構な量の本を読みました。この悩み期間は、必要に迫られているだけあって真剣に読むことができて、振り返ってみると辛いけども充実した時間となりました。将来をどうしようかと思い悩んでいる人たちの参考になればと思い、私の読んだを本を紹介しておきます。

 

傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった (幻冬舎文庫)

傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった (幻冬舎文庫)

 

 作者が同世代、かつ一般的就職活動をしなかったということで共感するところが多くありました。肝心なことは自分は何者なのか、何を欲しているのかということから逃げないこと。周囲(特に親)から与えられる「期待」というやつは、非常に巧みに私たちを誘導し、本心をわからなくしてしまいます。そのしがらみをいかに外していったか、外した先に何があるのかが描かれた魂の叫び的本。

 

 

「自分」に執着しない生き方―なぜ“逃げの人生”を選ぶのか (PHP文庫)

「自分」に執着しない生き方―なぜ“逃げの人生”を選ぶのか (PHP文庫)

 

 

 

逆境に弱い人 ―ここに気づけば強くなれる―

逆境に弱い人 ―ここに気づけば強くなれる―

 

 

 

感情を出したほうが好かれる (知的生きかた文庫――わたしの時間シリーズ)

感情を出したほうが好かれる (知的生きかた文庫――わたしの時間シリーズ)

 

 

 

まじめさが報われるための心理学 (PHP文庫)

まじめさが報われるための心理学 (PHP文庫)

 

 

 

自信 (知的生きかた文庫)

自信 (知的生きかた文庫)

 

 

 

 心が風を引いたときの加藤諦三。と勝手に位置づけています。内容は似たものが多いのでどれか一冊だけでも。この人のメッセージも「親や周囲の期待を切り離した自分自身の欲求と向き合え」というものです。そこにはえげつないものやしょーもないものがたくさんあるでしょうが、それを否定していては、本当の自分自身はいつもおざなりでストレスが溜まる一方、どんなに見かけ上成功していても内面はぼろぼろになってしまうよという警告が胸に響きます。人の顔をうかがって生きてきた私にとって辛辣な内容ですが、自分の本音を誤魔化してしまいそうな気がしたときは加藤諦三の本を手に取り「修羅場から逃げるな」と言い聞かせます。

 

何者

何者

 

 就職活動を前にした大学生たちの話。近い世代のイタイ人間のイタイ振る舞いがたくさん出てくる。しょーもないってどういうことなんだろう、自分の人生を生きるってのはどういうことなんだろうと考えさせられる本。

 

 

 

新訳 道は開ける

新訳 道は開ける

 

 有名すぎる一冊。恐れや迷いで頭や心がいっぱいでもう一歩も動けないというような人たちがどうやって光明を見つけ良く生きるようになっていたのかをたくさん紹介している。理屈をこねてもこねても次の一歩が出ない人は是非一読を。正直そうは言っても私にはできないと思わないでもないですが、手詰まりのときは考えずに動き始めるのも有効で、その勇気がもらえる本です。

 

マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法

マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法

 

 日本語講師をやり続けてどうなるんだろう、転職先にいったとして道は開けるのだろうかと思い悩んでいた私にとってはタイムリーな一冊でした。自分のやってきたことのを捉えなおすことで、世の中で通じるものが見つかり得る。自分の価値を適切に認識し、また育てることでもっと自信をもって自由に生きることができる。(どんな状況にあっても)人生に前向きになれるヒントがたくさんあります。

 

半径5メートルの野望

半径5メートルの野望

 

 はあちゅうさんってパワーありますよね。正直、タイプは違うということで自分の参考にはしづらいのですが、理想を掲げながらも今できることをコツコツ、ガツガツやっていくことで、当初からの地点からはるか遠くへいけるという話。他人をやっかんだり、自分に絶望する暇があったら、半径5mのことを懸命に。「道は開ける」でも同様のアイデアは多く紹介されているのできっと一つの答えなのでしょう。

 

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これらの本から得た教訓をまとめると

自分はどんな人間で何がしたいかを建前抜きで把握する。

そして、将来の理想は描きつつも、まずは目の前のことに没頭しなさい。

ということですね。

あるのは今。過去も未来も頭の中にあるにすぎません。それにとらわれて身動きできなくなって今が疎かになるのではしょーもない。・・・と言ってもそう簡単に切り替えられないのですけどね。だからこうやって本でドーピングしながらでも今と向き合おうと思うのです。